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IT系企業 研究開発職
小川淳さん
自分の強みを知り、それを地域社会でも活かしたい
※この記事は、横浜市泉区役所主催の、つながる!地域活動ゼミ「デジタル×プロボノ~ICTの業務経験を活かしたプロボノの事例から学ぶ~」(令和4年11月27日(日)開催)の経験者トークを編集したものです。支援先団体「おでかけ3」の実行委員会会長笠原實さん(写真後段中央)にもご一緒に登壇いただきました。

――「おでかけ3」の活動について教えてください。

笠原さん:「おでかけ3」は横浜市西区第3地区で移動支援のバスサービスを運行しています。西区は良い土地なんですが、お年寄りは山坂が多く外に出にくいため、その点を解決すべく、「生活創造空間にし」と「横浜市 藤棚地域ケアプラザ」が平成29年10月に共同計画として立ち上げたものです。山坂の多い地域で外出にお困りの方に、お年寄りの買い物など、地域の方の移動を支えています。

平成31年4月に本格的な活動を始め、利用者は現在197名の登録があり、毎週水曜と金曜に4便を運行しています。

移動を助けるということに留まらず、なかなか外に出にくい方のコミュニケーションツールにもなっています。例えばバス乗車時、添乗員さんとの会話で「今日はどうしたの?」「何か変わったことはない?」と仲良くやりとりをすることで利用される皆さんの生活を支えたり、さまざまな情報を得られたりするメリットがあります。

「おでかけ3」は、更にサービスに関わっていただくため、地域のお祭りに参加するなど、さまざまな試行錯誤もしてきました。

昨夏は、乗車の際に商店街の割引券をお渡しして買い物のきっかけしてもらうことで、商店街とのつながりを作る試みを実施しました。「おでかけ3」のニュースも発行しています。

そうした積み重ねで、地域の方の信頼を得ている実感もあります。新型コロナウイルス感染拡大でしばらくサービスを中断していたところ、地域の方々より、困っているからと再開を望む声が上がっていました。人と人、人とまちをつなぐ「おでかけ3」です。

 

――ハマボノでのプロジェクトについて教えてください。

笠原さん:ハマボノとの繋がりは、西区役所からの紹介がきっかけです。さまざまなことを相談できるということで、新たな利用者や協力者を増やしたいと相談をしました。そこで、ハマボノ1DAYチャレンジで、活動を広く伝えられるホームページを作っていただきました。

そのプロボノチームの中で支援していただき、今は実行委員となっていただいたのが小川さんでした。

 

――小川さんの普段のお仕事とプロボノ参加のきっかけは?

小川さん:私はIT企業で30年勤務し管理職をしています。専門は通信の分野になります。具体的には現在、技術戦略の立案と取りまとめをしています。

この業界に入ったのはインターネット黎明期で、メールと簡単な掲示板があった程度でした。ですが、地球の裏側にメールが届きすぐに返事が来ることに衝撃を感じて夢中になり、世の中の変化を予感して入りました。

プロボノを始めようと思ったきっかけは新型コロナウイルスの影響でした。コロナ禍の前はいわゆる会社人間で、深夜まで残業をし、週休0.5〜1日という生活をしていました。

しかし感染拡大に伴い在宅勤務が増え、更に社会全体のオンライン化、学校の授業やワクチン接種予約など、スマートホンの画面を通して、個人で社会と向き合っている感覚になりました。元々私は、会社一本足打法という時代は終わるだろうなと予測していましたので、個人で社会とどう繋がっていくか、この課題からは今後逃げられないだろうなと思いました。

 

――その課題意識からプロボノ参加へと行動した経緯は?

小川さん:行動するヒントになったのが、たまたま観た地方発のYouTube配信でした。地域の魅力を週1で発信するもので、最初の緊急事態宣言から3週間も経たずに放送を開始していました。

トマトが得意な農家さんが育てたトマトの特徴を、飲食店さんがそのトマトをどうおいしく料理しているかが紹介されていました。ペンションのオーナーさんがペンションをスタジオとして貸し出し、地域でイベントを企画しているような方が番組の構成を考えたり、司会をしたり、農家や飲食店、宿泊業者は地域の魅力をアピールしていました。

この方達は元々個人事業主なので自分の強みを持って社会と向き合っています。地方なので皆がその強みを理解しています。その強みの組み合わせを変えて毎回番組が作られていました。それぞれの人の強みがはっきりしていて、それを周りが理解していました。やはり社会と向き合う第一歩というのは、自分の強みをはっきりさせることなんじゃないかなと思いました。

じゃあ自分の強みはなんだろう?と考えると、ぼんやりとしか描けなかったんですね。

自分の専門はICT関連、いつものお客様でない方は何をしたら喜んでくれるのだろう?役職はあるけど、だからメンバーはついてきてくれるのかな?英語は話せるけど、だから何になる?会社の中での強みが社会にどう生きるのか、会社の看板なしで自分が社会に何ができるのかがわかりませんでした。

自分の強みを、周りの人がどう喜んでくれるかを見定めながらスモールスタートで始めたい、そう思ったのがボランティア、プロボノを考えたきっかけでした。そこでいいタイミングでハマボノの募集があったということです。

 

――そこで出会ったのが「おでかけ3」ですね。実際にどう支援されましたか?

小川さん:「おでかけ3」のプロジェクトに応募したのは、他のプロジェクトと比較しておもしろいかな、WEBサイトを作ったことはなかったんですが自分のバックグラウンドと近いかなと思いまして応募しました。

メンバーは全部で4人、全員IT系の勤務でしたが全員がもちろんそれぞれ初対面。プロボノ経験があったのは1人でした。

1DAY当日までの準備期間が1ヶ月、1日で本番という短期間のプロジェクトです。最初にオリエンテーションがあり、その後ヒアリングをしまして、本番前に暫定版を作った方が良いなと思いました。というのも、「おでかけ3」にとって初めてのホームページでしたし、実行委員の方の中にはホームページというものをよく知らない方もいたので、事前に暫定版を見ていただいて、実行委員の方にイメージを掴んでいただいてから本番を迎えた方がいいだろうなと思ったのです。

そこで本番1週間前に暫定版をリリースしました。それまでの打ち合わせはオンライン上で2回、あとはメールのやりとりでした。実働時間は2〜3時間/週で、時間をかけたのは、サイトマップをどうしてどう作るかというところでした。実装は1週間で、暫定版を作りました。

1DAY当日は実際に見ていただき、レビューと運用説明を中心に進めました。暫定版について、ここはもっとこうした方が想いが伝わるというようなレビューを受けました。またホームページは運用し続け新しい情報を載せ続けてこそ意味があるので、今後の運用を実行委員会でやっていけるように説明を進めました。

そのホームページは(https://odekake3.jimdofree.com/)今も運用されていて、見ていただくと新しいニュースが載っていますし、利用案内、地図や時刻表など、最新のものを見られます。

 

――参加してみてどう感じましたか?

小川さん:振り返ってみると、困ったことはありませんでした。メンバーや実行委員の皆さんのおかげで、かなり順調に進んだかと思います。経験が無かったホームページ作成も難しくなく、使用したジンドゥーというソフトはPowerPointのような操作感で、高度な技術は必要ありません。

やる前は緊張していたんですが、会長の笠原さんから、「魔法にかかったようだ、こんな立派なものを作っていただいたのでぜひ多くの方に見ていただきたい」、というお言葉をいただいたときに、嬉しさと同時に肩の力がふっと抜けたような気持ちになったことを覚えています。またハマボノのメンバーとは今でも飲み会などの交流があります。

 

――ハマボノ終了後も支援先で活動を続けられているとのことですが、その理由は?

小川さん:はい、ハマボノ後の活動後、立場を変えて「おでかけ3」の実行委員会に入りました。

プロジェクト終了で達成感はありましたが心残りもありました。というのも、先ほど笠原さんも触れられていましたように、「おでかけ3」のハマボノへの依頼の目的が元々、新規利用者を増やしたい、協力者を増やしたいというものでした。しかしホームページを作っただけではこれは達成できない。ホームページを作ったのはほんの入り口だったので、これをやり切りたいなと思ったわけです。

さらに実行委員の皆さんが明るくてポジティブなこと、山坂の多い急なところで活動している意義を強く感じていたところで実行委員へのお誘いを受け、メンバーに入ることにしました。

 

――「おでかけ3」では具体的にどんなことをしていますか?

今は月1回の会合に出たり、デジタル面でのサポートをしています。

具体的に活動したこと一つにYouTube動画があります。動画を仲間と撮影し私は主に編集をしました。地域のゆるキャラが実際におでかけ3に乗ってみるというものです。横浜市のYouTubeチャンネルに上がっています。

他にも実行委委員会のメーリングリストを作りました。実行委員会内での情報共有が早くなりましたし、一体感が生まれる効果があったと思っています。

また、ダッシュボードのように乗客数の推移が出ていたり、ボタンを押すとバス停ごとの数字が出たりするツール(おでかけ3 DX ダッシュボード)も作りました。これを使ってデータ分析してみると、気温が高いと利用者が減るということがわかり、そこで昨夏に商店街と協力して、暑い中乗ってくださった利用者に商品券ドリンク券などを出す施策をやりました。

こんなふうにデジタルの世界と実世界、「おでかけ3」の世界をさらにうまく結びつけられたらいいなと思って活動しています。

 

――「おでかけ3」の実行委員としての活動をどう感じていますか?

私にとって「おでかけ3」は、仕事では得られない直接的な反応を得られる良さがまずあります。

ITというのは、直接消費者の方と接することがない裏方で、そこではなかなか味わえない、直接社会と向き合えている感じがありました。ホームページを見て協力者への応募が増えているというということを聞いて、そういった直接的な反応を感じられるのは良いなと思っています。

また、新しい仲間と居場所、会社の看板がなくても社会と向き合えているというところにも、私はご縁に恵まれて幸運な事例なのかもしれないと感じますね。

 

――最後に、プロボノ参加に関心のある方にメッセージをお願いします。

冒頭の「強み」の話に戻りますが、プロボノは強みにつながる気づきを得る場だったと思っています。「おでかけ3」、プロボノ活動は、職場とは違う自分を照らすスポットライトでした。仕事で上司や同僚から「小川さん〇〇が得意なんですね」「〇〇が好きなんですね」と言われて、それが気づけば強みになった経験は皆さんもおありかなと思います。

それをもう一つ別のスポットライトとして気づきを得ることができる、そんな場に今のプロボノがなっているように考えています。

私の場合の強みは、ITの知識といろいろなソフトウェアを使いこなせること。私がITオタクで、専門以外のことにも興味を持って手を出し続けていたということなんですが、それが実は強みになっていたということに気づけました。

また実行委員の方からかけていただいた言葉で気づいた強みもあります。会合の帰りに「小川さんは他の人を応援する発言が多いですね」と立ち話で言われたことです。会社では言われたことが無かったので、自分にこういった部分があったのかと驚き、会社でも「おでかけ3」で築いた部分を出していきたいなと思って行動しています。

“プロボノ”というとどうしても、地域のため、人のため、“GIVE”するというニュアンスが強い言葉だと思います。ただそれと同時に何を“TAKE”するのか、自分のために何が得られるのかを併せて考えること。それがプロボノ活動を充実させるコツかもしれません。

とはいえやってみないと始まらないということもありますよね。

「この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。 迷わず行けよ、行けばわかるさ。」(Byアントニオ猪木)ということですね。

 

***

写真手前左から 藤棚商店会長 荻原 隆宏さん、生活創造空間にし 古田中 一輝さん
写真奥左から 横浜市藤棚地域ケアプラザ 志田 茜さん、おでかけ3実行委員会長 笠原 實さん、おでかけ3実行委員 小川 淳さん

 

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
おでかけ3実行委員会 
ウェブサイト
1DAY
通信会社 石田 康治さん
製薬会社 松島 智樹さん
プロボノを通して「聞く」ことの大切さをより意識するように

――普段のお仕事と、プロボノ参加の時期は?

石田さん:通信会社で地方創生の事業を2020年から行っています。以前は社会貢献活動の推進も担当していました。

プロボノへの参加は2017年度からで、ハマボノには2019年と2021年に参加しました。

 

松島さん:製薬会社で医薬品の承認を与える官公庁、例えば厚生労働省などとの折衝業務を担当しています。プロボノへは2019年のハマボノに参加し、2020年2021年は別のプロボノにも参加しました。

 

 

――参加したハマボノプロジェクトの内容は?

松島さん:2019年に石田さんと同じチームで支援したのが、「おもいやりカンパニー」さんという団体へのウェブサイト作成です。「おもいやりカンパニー」さんは、横浜市南区で活動する団体です。地形的に坂が多いため、地域で暮らす高齢者の買い物などの生活支援を行いながら、空き家を活用した多世代での交流拠点を運営しています。このプロジェクトの終了時期は、コロナ感染拡大が始まった頃でしたので、コロナ禍での情報発信にもウェブサイトが役立ったと聞いています。

石田さん:2021年のハマボノでは「濱なかま」さんという団体に事業計画立案の支援を行いました。「濱なかま」さんは港北区の城郷地域で、多世代の居場所づくり、地域情報発信に取り組む団体です。子育て世代の支援活動から始まり、今は高齢者向けの支援もしています。
今回は中長期事業計画の依頼でしたので、2~3年先までの行動計画を作成し、並行してビジョン、ミッションも一緒に策定して次のステージに進む支援もしました。具体的には工程表や行動計画、実践しやすいアイディア集などの資料を作りました。

 

――今回ハマボノに参加されたきっかけは?

石田さん:ボランティアに参加したきっかけは東日本大震災後の被災地ボランティアでした。また、先の自身のキャリアを考え受講していたとある大学のソーシャルビジネスアカデミーの一部講座を、サービスグラントの嵯峨代表が担当されていたことをきっかけにプロボノに興味を持ち、ハマボノ参加の前からプロボノに参加していました。そして、それまで地元、横浜での活動ができていなかったこともあり、ハマボノに参加しました。

 

松島さん:プロボノという社会人スキルを生かしたボランティア活動を初めて知ったのは、新聞や雑誌などのメディアでした。興味を持って調べたところ、近隣でハマボノ説明会が近日中にあるとのこと。そこで申し込んで参加したのがきっかけです。

 

――普段の仕事で時間が限られる中、それでもプロボノに参加したのはなぜですか?

松島さん:プロボノに参加する1年前までは本業のみで充実しており、ボランティアにはあまり関心がありませんでした。しかしここ数年、時代の変化で働き方改革など進みましたよね。長時間の残業をせず空いた時間を自己啓発や地域活動に、という社会や会社の流れになってきたことが、一つ理由としてあります。私自身も、本業に全てのリソースを費やすよりは、様々なところで時間を分けて活動した方が結果的に本業でも成果が出せるのではないかと考えています。

 

石田さん:歳を重ねるごとに、地域や自分の身の回りに対して何もしていないな、と感じるようになったことが理由としてありますね。被災地のボランティアに行ったことが後押しとなって参加するようになりました。

 

――支援先はどのように選びましたか?お住まいの近くを重視しましたか?

松島さん:「おもいやりカンパニー」さんは家から近いので、支援終了後も関われるのかなと思って選びました。支援終了後も何らかの関わりを団体さんと持ちたいのでしたら個人的には家から近い方がいいのかなと思います。ただコロナ禍以降、リモートも多くなったので、距離が離れていても支援する上では問題なくなってきたのかなと思います。

 

石田さん:地域に根ざした活動をしたい場合は住んでいる地域が良いかと思いますが、様々な経験をしたい場合は自分の基準で選ぶのがいいと思います。 私は地元以外に、2020年は他県のプロボノに参加し、地方と地元を行き来するような活動もしています。

 

――参加にあたって不安は?実際どうでしたか?

石田さん:体を動かすボランティアと違って、自身の日頃の仕事を活かせるかは不安でした。いわゆるジェネラリストと言われるような一般的なスキルを活かせるかというところです。

実際支援してみて活かせたのは、基本的コミュニケーションとドキュメント化の部分です。

まず、基本的コミュニケーションは人の話を聞くこと。仕事上でも相手の話を聞いてこそ前に進めますし、スムーズですよね。そこは本業ともうまく循環させながら支援できました。また地域活動団体は意思決定がトップダウンではないので、代表者さんは色々と悩みを抱えがちだと思うんですが、その悩みをお聞きするだけでもスッキリされたように思います。

ドキュメント化は議事録を作って提案資料を作る、つまり言語化することです。

団体さんは、ご多忙でなかなか言語化して残すところに至らないことも多いので、言語化することでお役に立てたと思います。

 

松島さん:不安は、普段の仕事上、ニッチな分野のスキルしか持っていないので、それで大丈夫かな、という点でした。

支援内容はホームページ作成の依頼でしたが、実際支援するにあたって高度なスキルはあまり必要ではありませんでした。

石田さんの仰るようなコミュニケーション力や傾聴力が最も大事だと感じました。逆に高度な技術で作っても支援先さんが使いこなせなくては意味がありません。それよりも支援先さんのニーズとその時の状況に合ったものを提供する。そこでコミュニケーション力や傾聴力が重要になってくるのだと感じました。

 

――プロボノチーム内でのコミュニケーションはリモート中心でしたか?

石田さん:メンバー全員勤務していたので基本的にはリモートで、土日に1〜2時間、足りない場合は平日18時、19時からなどの1時間で打ち合わせをしていました。対面でのコミュニケーションも必要ですので、新型コロナの感染状況を見ながら、集まれる時にはリアルで集まる。支援先にも感染状況を見ながら行ける時は行く。そのように活動していました。

 

松島さん:2019年に支援した「おもいやりカンパニー」さんのプロジェクトは、始まった時はコロナ前だったので対面中心だったのですが、最後の方だけリモートとなり、移り変わりの時だっただけにコミュニケーション手段の選択が大変でした。

 

――ホームページ作成の支援では専門知識を学びましたか?

松島さん:ウェブサイト作成は石田さんと一緒に本を買って勉強したのですが、ジンドゥーという簡単に作れるソフトがあり活用しました。それはパワーポイントを操作できれば作れるようなものになっていて更新もしやすいものです。

ですので支援先さんには、技術面というよりも情報整理をチームで支援した形になります。

 

――支援先と意見や方向性が違うことはありましたか?

石田さん:大きな方向性、支援内容はハマボノ運営事務局が段取りをして定まっています。その支援内容は募集の際にも明示されています。ゴールがないと支援先さんの要求があれもこれもと膨らんでしまう可能性もあるのですが、そこは決められているので、これから参加しようという方も心配されずに参加できると思います。

 

松島さん:細かい点で支援先さんと意見が食い違う場合は、結局コミュニケーション不足が原因かなと思います。最終的には折り合いがつくことがほとんどなので、やはりよくよく話し合うことが重要かと思います。

 

――参加されて新たな経験や発見、普段の仕事で得られなかった気づきは?

松島さん:支援先さんは団体として一つの目標に向かって進むのですが、そこに関わる皆さん一人一人の思いはそれぞれ違うんだなということが発見でした。そこは私たちプロボノメンバーの気づきだけでなく、支援先団体さんの中でも初めて知ったという方もいらっしゃいました。

境界線がはっきりしていない、個々人が違う思いを持っており曖昧な中で進んでいる、というNPO団体の仕組みがとても興味深かったです。

 

石田さん:松島さんのお話のように、支援先の関係者が多く意見がまとまらず、限られた時間の中でなんとなく方向性を決めることに最初は戸惑いがありました。ただ、このように地域に根ざした活動をされている方々がいてくださっているおかげで世の中が成り立っているんだなということに気付きました。そこから地域の広報誌などを興味を持って読むようになりました。

 

――プロボノ経験を経てご自身の生活やお仕事で得られたことは?

松島さん:参加してよかった点のひとつは、普段生活していたら聞けないような話を聞けたことです。参加メンバーは別業種の集まりだったので、例えば金融業界のメンバーに金融系ドラマの話題について聞いてみるなど、興味深い話を伺えたのがプロボノチームの醍醐味でした。

 

石田さん:達成感があったことです。今回は、作成するウェブサイトのことを誰も知りませんでした。そこで皆で調べて一から作り上げたという達成感がありました。大きな会社であれば仕事が細分化されて得にくいものだったと思います。

さらに人の話を聞くというところはプロボノ参加前よりも意識するようになりました。

本業では、、ややもすると、自社の持っている商材を提案するばかりになりがちですが、それがプロボノを経て、以前より相手のニーズがどこにあるのかを考えて仕事ができるようになったと思います。

 

*****

※この記事は、横浜市泉区役所主催の地域活動ゼミ「プロボノって何?経験や得意を活かした地域活動を知ろう!」(令和4年9月3日(土)開催)の経験者トークを編集したものです。

 

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【南区】おもいやりカンパニー
【港北区】居場所づくり濱なかま 
ウェブサイト事業計画立案
ハマボノ
ITベンダー プロダクトマネージャー 関恭一さん
地元横浜に貢献したい。その思いを形にする第一歩に

子どもが所属する地元のサッカーチームの手伝いを以前からしていましたが、昨年、オリンピックでボランティア経験をしたのを契機に地域貢献について考えるようになりました。その時にハマボノを知り、地元である横浜市に貢献できることはないかと思い、参加をしました。

 

プロボノは初めてで、支援先団体の方たちの期待に応えられるのか、成果が出せるのか、チームのリーダーとして務まるのか不安でした。最初は期待より不安が大きかった気がします。

 

また、いろいろな考えを持った方とのコミュニケーションや配慮、モチベーションの上げ方などの経験は本業に活かせると感じています。

 

プロジェクト中、チーム内では、オンラインで定例ミーティングを行ったり、クラウドツールを使って情報共有、進捗管理をしていました。ヒアリングについては、たまたま支援先近くにお住まいのチームメンバーに訪問してもらい密に関わっていただくことで、支援先団体とチームとのコミュニケーションもスムーズに進めることができたと思います。成果物は、オンラインソフトを活用して制作をしました。

 

プロジェクトを終え、成果物を出せてほっとした、というのが率直な感想です。ですがそれより何より、活動をしている団体の方の地域愛の大きさを生で感じることができました。高齢化、担い手不足という地域の課題も実感しました。今回ハマボノを通じて地域団体支援ができ、地元横浜市に貢献したいという当初の目標は達成できたかと思いますし、今後も継続したいと思いました。

 

ハマボノは、ある程度の期間をかけてほかの方と成果物を作るため、その場で手伝うボランティアとは異なり難しい面もありますが、終わった後の達成感や得るものが大きいと思います。

ぜひ興味がある方はトライしていただきたいです。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【緑区】竹山地区社会福祉協議会 
印刷物(団体紹介パンフレット等)
ハマボノ

勤務先で開催された定年退職後のセカンドライフを考えるセミナーで、今後のライフスタイルの選択肢のひとつとしてプロボノが紹介されていました。自分のフィールドを広げたいと考え、早速ネットで検索をして地元横浜のハマボノを知り、説明会に参加し登録しました。

 

参加前は、会社勤めでは経験したことのない活動を行うこと、会社での経験をどれだけ活かすことができるのか不安もありましたが、新しいことにチャレンジし、会社では知り合うことのない方々と出会えることへのワクワク感もありました。

参加したプロジェクトは「中長期計画立案」でした。取り組む前はハードルの高さを感じましたが、プロボノチームの皆さんと一緒にヒアリングや資料作成等の活動をすることにより、前向きに団体さんの課題に向き合い提案を行うことができました。

同じチームの皆さんが、自分では思いつかない視点で質問をされ、団体さんの話を汲みながら課題点をまとめて次の提案に進めていく姿勢は、新鮮さを感じ大変刺激になりました。同時に自分の思考の習慣がわかり、自身のキャリアや強みを整理する良い機会にもなりました。

 

横浜で地域の皆さんを支えている団体さんからお話を聞き、活き活きと活動されていることを知ることにより、地域活動や地域包括ケアシステムを身近に感じることができました。また、今回のプロジェクトを通じて、団体さんが、区、社会福祉協議会、地域ケアプラザの皆さんとの距離感が縮まったとおっしゃってくださったことが嬉しかったです。

 

定年退職後のセカンドライフを充実したものにしたい、と思われる方も多いと思います。私はハマボノの活動から、社会貢献活動の意義を知り、自分の考え方や行動パターンを客観視でき、セカンドライフを考える上で大変有意義な経験ができました。またハマボノで、違う団体さんのご支援を経験してみたいと思っています。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【港北区】居場所づくり濱なかま 
事業計画立案
ハマボノ

もともとプロボノに興味はありましたが、自分のスキルが活かせるか不安だったところ、ハマボノ1DAYチャレンジについて知りました。準備を含めて1か月であれば、時間の工面なども頑張れると思えたので、他のプログラムに比べ参加のハードルが低かったです。

 

準備期間1ヵ月は、メールで意見・思いを吸い上げることに注力。当日は、議論と制作に時間を充てられるようにしました。

当日一日でどこまでできるんだろうという不安はありましたが、実際に現場訪問するととてもあたたかく迎えてくださり、最初のあいさつで緊張が解け、非常に楽しく過ごすことができました。

 

地域活動団体の方々がどういった活動をされているかお聞きするだけでもすべて新鮮で、お話の一つ一つが気づきでした。皆さんそれぞれの思いがあって活動されていることが伝わってきたこと、それをとても生き生きと語られていたのが印象的でした。

 

普段の仕事経験を活かせたのは、事前準備や当日の会議におけるファシリテーション。コロナ禍で会えない制約がある中で、どう進めたら、最短距離で最大限の価値を出せるかということを考えることは、いつも仕事で行っていることと同じでした。

 

ハマボノ1DAYチャレンジは、集中してその場でスパッと、成果物ができるのが1番魅力です。また、横浜にゆかりのある方々がプロボノとして参加し、どこかしらで横浜とつながっている部分があることも、モチベーションにつながります。

参加を迷っている方には、チャレンジしやすいプログラムですので、ぜひご参加されるといいと思います。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【戸塚区】NPO法人いこいの家 夢みん 
印刷物(団体紹介パンフレット等)
1DAY

知人から聞いて昨年も参加、今年は2回目です。地域の親子サークルを主宰しているので育休中のママとの接点は多いものの、一緒にプロジェクトを行うことはなかったので当初は緊張もし、離職後6年になるブランクの長さも不安でした。でも、公園と家との行き来では会えないメンバーとの出会いから得られる刺激や知識は、必ず役に立つと思って参加しました。

 

今回のプロジェクトは、こども食堂を運営する団体のホームページの作成でした。チームメンバーは、偶然二人目育休中の方ばかり。一人目の育休は育児に悩んで終わったので、二人目の育休は充実したい、何かに貢献したいという思いが同じでした。とはいえ、こども食堂という言葉は知っていても身近ではなく、ホームページ制作の経験者もおらず、しかもコロナで対面が難しい。不安でいっぱいの中、オンラインで手探りしながら進めました。すると、出会う方々はみなさんパワフルで前向きな方ばかり。次第に、「できるかも」という気持ちがどんどん強まっていきました。

 

ママボノに参加してよかったことは、地域活動の裏方を見せていただけたことです。地域団体とのつながりはあっても、活動への思いや大変さまでは知りませんでした。今回のハマボノで、代表の方の思い、支える多くの方々や参加者の思いを伺い、地域に対しての距離がぐっと縮まった気がしますし、地域活動への見方もガラッと変わりました。

 

また、ママボノの魅力は、ママとしての力の再確認ができ、本音が言えるサードプレイスであることです。家庭と仕事との両立、キャリアなどの話は保育園のママ友には意外と話しにくい。ママボノでは、お互いのいい面を褒め合い、自分に足りないものは何かを考えそれを話せる仲間を得ました。プロジェクトを通じて、お互いの個性、仕事のやり方、考え方を理解しあえた仲だからこそ生まれた絆を感じています。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【神奈川区】ふれあいっこ三ツ沢 
ウェブサイト
ママボノ
ICT 関連サービス ITコンサルタント         中島俊春さん
横浜での地域活動をライフワークに。まずは地域活動に触れるきっかけとして参加

仕事の経験を活かし、バックグラウンドの異なるメンバーと共に課題解決支援をしたいという思いから、5年前に初めてプロボノに参画、4~6か月のプロジェクトやプロボノ1DAYチャレンジにも参加しました。

初めてのプロボノ参加の動機はチャレンジの側面が強かったのですが、今回は、自分が住んでいる横浜に、プロボノをきっかけにライフワーク的にかかわっていき地域の活動に触れていきたいと考えハマボノに参加しました。

 

また、自分のスケジュールの都合や団体の活動、支援内容などから、「移動支援バスおでかけ3」のウェブサイト制作のプロジェクトに立候補しました。

週1回程度オンラインチームミーティングをし、ジンドゥーのテンプレートを選びベースカラーを決め、掲載する情報を整理して、メンバー4人で、準備期間の1か月でウェブサイトをほぼ完成させて当日に臨みました。それでも、1か月間の活動時間は、週平均3~5時間程度でしたので、プロボノの活動時間として事前に提示されていた活動時間でした。事前に作り込んだおかげで、当日の確認がとてもスムーズだったと思います。

 

一方で、「1Day」のイメージが人により違い(実際は準備が1か月間あります)当日に向けた想いや時間の都合なども異なりがちですが、最初にそれをすり合わせてスタートできたのはよかったと思います。1つ挙げるなら、参加者同士、支援先とのコミュニケーションがもっと取れたら良かったといいう思いもありますが、それは次回の課題としたいと思います。

 

今回のプロジェクトはプロボノ初参加の方ばかりでしたが、参加経験のある私がフォローすることもほとんどなく、むしろ他の方から学ぶことも多かったです。参加前は多少不安がありましたが、プロジェクトを終えた後は達成感もあり参加して良かったと思っています。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【西区】移動支援バス おでかけ3実行委員会 
ウェブサイト
1DAY
シンクタンク企業 会員組織運営担当      大井修一さん 
シニアの皆さんのオンライン活動の変化に関与することができました

コロナ禍でリモートワークが続く中、新しいことにチャレンジしたい、社外とのつながりを深めたいと思っていた時に、出身の横浜市のハマボノを知りました。

プロジェクトは、オンラインでコグニサイズ(認知症予防体操)をするマニュアル作成。介護進行予防への関心や、それをオンラインで実現しようとしているということに興味を持ち、参加を希望しました。

 

まず実現方法はLineなのかZoomなのかといった検討から始め、マニュアルを作成、実際にシニアの皆さんに試していただき、ブラッシュアップしていきました。

分かりやすいマニュアルができれば良いものではなく、シニアの方がやってみようと思うものではないと意味がありません。活用してもらうための議論を、チームで繰り返しました。そして、シニアの方がオンライン活動を楽しむ上でのステップや、ご家庭の協力を得るための家族向け説明会の提案、スマホ講習会については実際に試行もしました。

 

その結果、シニアの皆さまがオンラインでのコグニサイズを、「笑顔」で楽しむ様子を拝見することができました。また、Lineを使えて喜んでいる、スマホを持つ人も増えた、などの声も聞いて、地域のシニアの皆さんのオンラインに関する変化に関与できたことも、大変嬉しく思いました。

 

プロジェクト中、区役所や地域ケアプラザの方などもご参加くださったりご意見をいただいたりもしました。地域活動では、いろいろな方が関わり、ともに地域をよくしようとしているという現状を肌で感じることもできました。

 

参加をしてみて、会社では触れあえない出会いがあったのが魅力でした。参加するからには、活動時間を確保することは必要ですが、自分のペースで取り組めるというのも魅力です。関心が少しでもあればまずは参加をしてみてはいかがでしょうか。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【緑区】NPO法人笑顔 
プログラム運営マニュアル
ハマボノ
通信系企業 地方創生事業担当 石田 康治さん
プロボノは、地域を知り、社会と関わる第一歩 

私が参加したきっかけは、地域活動や非営利の活動に関心があったことです。自分自身がライフシフト世代と言われる世代になってきたことで、より一層地域に目が向くようになり、地元である横浜のプロジェクトに参加しました。

 

参加したプロジェクトの内容は、地域高齢者の支援活動や多世代交流拠点の活動を行う団体のウェブサイト作成でした。チームは全員民間企業勤務でしたが、20~50代の異なる業種のメンバーでしたのでうまくいくか不安はありました。でも、実際にやってみると、プロジェクトのゴールが明確で、「社会の役に立ちたい」という想いで皆さんが向き合っているので、バックグラウンドの違いを乗り越えて取り組めたなと感じています。また、皆さんの色々な視点から気付きもありました。

 

プロジェクトに参加してよかったのは、日ごろ生活していると気づかない発見があったことです。以前は地域との繋がりがなかったので、ハマボノで地域を支えている団体の活動に触れることができ、こういった団体があることを実感できました。「地域包括ケアシステム」という言葉も身近になりましたし、駅などの掲示板やメディアなどを見ている時に、支援先団体を思い出すなど、支援先に関連することに以前より関心が高まりました。

 

社会と関わりたい、役に立ちたいと思っても、実際にはなかなか行動に移せない人も多いと思います。私もそうでした。サービスグラントのプロボノは、しっかりしたサポート体制もあり、プロジェクトを進める上で必要なツールも準備されているので、社会と関わる第一歩をハマボノで踏み出してはいかがでしょうか。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【南区】おもいやりカンパニー 
ウェブサイト
ハマボノ
金融系 企業人事担当 金子 未散さん
社外の多様なつながりから得た、新鮮な学び

2018年に初めてサービスグラントのプロボノプロジェクトに参加し、楽しくて自分のためになったので、次はどのプロジェクトに参加しようかなと思っていました。その矢先、2019年にハマボノが始まることを知り、横浜在住・出身なので地元に貢献したいと思い、地元について意外と知らないことも多いことから、ハマボノに挑戦しました。

 

私が参加したチームは、5人のメンバーで、20~60代と年齢は様々、女性は自分だけでした。背景も得意なことも年代も違うメンバーと取り組むプロジェクトは、刺激的なことがたくさんありました。会社の中の関係性しか経験がないと、会社の外に出たとき、自分がどう振る舞えばいいかわからないこともあります。プロボノでは、バックグラウンドが異なるメンバーだからこそのすり合わせが必要だったり、上下関係がない中でプロジェクトを進める難しさを感じる場面もあります。でも、そうしたことは、会社ではとても味わえない経験で、自分の新しい一面を発見することもあります。今回のハマボノも、会社とは違う人間関係の中で学びがありました。

プロジェクトは、課題を棚卸し、整理するというものでしたが、課題を整理するだけではなく、プロボノに頼んでよかったと思っていただけるようにしたいと思いながら、丁寧なコミュニケーションを積み重ねていくことを心掛けました。

 

プロボノに興味がある方は、変わりたい、人の役に立ちたい、新しいことをしたい、世界を広げたい、などの動機があると思いますが、その気持ちは大切です。年齢や今までの経験にとらわれず、ぜひ新しい扉を開いてほしいです。プロボノは楽しいですが、自己満足の活動にとどまることなく、団体のための活動であることを忘れてはいけないと思います。見返りを期待せずに、マイナスのことも起こり得る、それも楽しもうという心構えで参加すると、結果として自分の成長にも繋がりますし、新しい発見があると思います。

団体名
プロジェクトの種類
プログラム
【戸塚区】ふらっとステーションドリーム 
課題整理ワークショップ
ハマボノ
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